第63章 入ったら出る必要はない

桜井彩乃は悔しさに顔を歪め、憎悪が脳を叩きつけるように暴れた。

「私が、簡単に許すわけないでしょ! 有岡里穂が今回死ななかったのは運がよかっただけ! 私が生きてる限り、絶対に殺してやる!」

有岡里穂は、この場で言い返しても意味がないと分かっていた。桜井彩乃の叫びは最初から聞かなかったことにして、桜井瑞希へ視線を向ける。

「通報は?」

桜井瑞希は首を振った。

「まだ。今すぐやる」

そう言うなりスマホを取り出し、110番へ。デパート周辺にはちょうど警察署があり、警官の到着は早かった。桜井瑞希の協力もあって、警官は桜井彩乃をすぐさま取り押さえ、そのまま車へ押し込む。

犯人が連行される...

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